【完】さつきあめ〜2nd〜

「いつか言ったな……。
お前はお前でいい…。
お前はゆりになれないし、さくらにもなれない。
それならお前はお前らしくいればいい。見ていてくれる人は必ずいる」

強く言い放った言葉。
そうだ、あれはレイとシーズンズで争っていた時の出来事。
あの時も深海はお前はお前でいいって言ってくれた。

「もぉー深海さん!何さくらと話し込んじゃってるのぉ!!」

「おー酔っ払いが絡んでくるなよ~!」

「飲めー飲めー!」

はるなが深海に絡みだして、お酒を無理やり飲ませる。
それを楽しんでいたのが愛とるなで、高橋や綾乃は呆れたような顔をする。
その光景を見ていて、暖かいなってやっぱり思うんだ。

涼は今月いっぱいでトリガーを辞める。
カウンターに立っていつもと変わらずクールな表情でそれを見守っていた。

「えぇ?!さくらぁ!もぉ帰っちゃうのぉ?!」

「うん、はるなちゃん…。明日も休みって言ってもお客さんに営業とかしなきゃいけないしね……」

酔っぱらって絡み酒になっているはるなは、頬をぷくっと膨らませてわたしの腕を子供のように引っ張る。
そのはるなを、珍しく深海がなだめていた。

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