【完】さつきあめ〜2nd〜
12月の週末の街は賑わいを見せている。
きらきらと光るいイルミネーションをかき消すくらいの、ネオンの多さ。
空を見上げても、星は見えない。
あそこで大きな看板で光り輝くネオンも、どこかの片隅で小さく灯るネオンのひとつひとつにそれぞれの物語があって、ひとりひとりの人生がある。
だからひとりぼっちじゃないって思えた日があった。けれどこの光りを寂しいと言った悲しい目をした人もいた。どこまでもひとりぼっちな気がする、と言っていた。

朝日はどうだっただろう?
朝日は何を思っただろう。この世界に生きてきて。
嬉しい時も、悲しい時でさえ、顔を見たくなるのも声を聴きたくなるのは朝日だけだった。
いつの間にか、わたしの中は朝日でいっぱいになっていったよ。

「未来は変わらなかったと思うよ、か……」

きっとどんな出会い方をしても…。

暗い闇を照らす、ネオンの光りに包まれて
誰もが抱える孤独を人はそれぞれの物で満たしてきた。
それは恋だったり、お金だったり、目に見える物、見えない物、さまざまで、けれど誰もが何かに縋り付かなくては超えられない夜があった。迎えられない朝があった。
幸せそうな笑顔の裏に見えた悲しみも、全て受け止められてあげられたのなら…。
光りの見えない夜の世界で、ひと時の光りになるのが私たちの仕事。
ねぇ、そうだったよね。

わたしも、あなただって。

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