【完】さつきあめ〜2nd〜
㉕
その電話は、日曜日の午後に突然警告音のようになった。
浅い眠りにしかつけなかった。
午前中に目を覚まし、軽く食事を取りながら昨日きてくれたお客さんにお礼のメール、そして営業のメールや電話。
携帯は常に動きっぱなしだった。
腱鞘炎になってしまんじゃないかってくらい、手首を動かしたのは初めてだったような気がする。
けたたましくなった着信音。
画面には、愛の名前が浮かぶ。
嫌な予感がした。
「さくらさん!!いまだいじょうぶですか?!」
「愛ちゃん…どうしたの…そんな慌てて…」
電話に出た愛は、見せた事のない慌てぶりで、動揺してる事がすぐに分かった。
「あの………!!こんな状況の中でさくらさんに連絡すべきじゃないって分かってはいたんですけど……
あたし…どうしていいか分からなくて………」
血の気がサーっとひいていくのが分かった。
電話を切って直ぐにタクシーを呼んで、お財布と携帯だけ持って、上着を羽織ったまま走り出した。
電話口の愛は、泣いていた。
’美月のお客さんだった佐竹さんが……’
’どうやって美月の居場所を突き止めたとかは全然分からないけれど…’
’言い合いになって揉みあいになっていくうちに……
美月が階段から突き落とされて……
警察とかきて…そのまま美月は救急車で病院に運ばれてしまって……’