【完】さつきあめ〜2nd〜
「院内はお静かに…。
走らないでください」
「…す、すいません…」
きょろきょろと病室を見渡して、ネームプレートを探す。
「もしかして中本さんのお知り合い?」
「あ!そうです!中本美月さんの!!」
中本、はさっきるなから聞いた美月の苗字だ。
美月が源氏名でない事は初めて知った。
「こちらですよ。
一時期は危険な状況だったんですけど、いまは落ち着いてますよ」
「あの、お腹の赤ちゃんは?!」
「だいじょうぶ」
初めてにこりと笑った看護師さんを見て、力が抜けるように安心した。
案内された病室に行くとるなと愛がいて、ベッドに美月が寝ていた。
「あ!さくらさん!!」
大声でわたしの名を呼ぶ愛に、病室まで案内してくれた看護師さんはキッときつく睨みつけ「病室では静かにしてくださいね」とわたしに釘をさして出て行った。
顔を上げてこちらを見つめる美月は、目を丸くしてるなと愛を交互に見つめ「何で……」と呟いた。
「ほんっと~!!なんすかぁ~!さくらさんその恰好は!!」
「シっ!愛静かに!
看護師さんに追い出されちゃうよ!
さ、さくらさん、さっきはいきなり電話しちゃってごめんなさい!
美月から連絡をもらった時はあたしも愛もパニッくちゃってて…きちんと説明もしないで…あたしたち…」