【完】さつきあめ〜2nd〜
かといって、ホストだけが全て悪いわけじゃない。それが彼らの仕事であって、彼らにお金を使って満足をする女性は非常に多いからだ。
嘘や思惑が渦巻く世界で、誰もが何かに依存していなくては自分を保てないような世界であって、依存するものは人それぞれだ。
それはお酒だったり、男だったり、お金だったり、地位だったりする。
わたしも、きっと何かにすがらないと生きていけない弱い人間だから。いつだってこの世界で生きていくのは誰かの為を装った自分の為だった。

それに…美月の気持ちがほんの少し理解できるような気がしたから。

美月は美月なりに朝日を好きだったのだと思う。
でも届かない想いの先で、違う温もりを求めた。
わたしだってきっとそうだった。そこにない温もりを別の人へ求めた。そうでもしなかったら、寂しい夜を超えられない日があったから。
でもその先に出来た命を、美月は守ろうとした。

絶対に捨てない。と言った強い目をした美月を覚えているのだから。ならば、その先の命に責任があるのは美月だけなのではない。

ホストクラブは二部制で運営している店も多く存在し、わたしは久しぶりにSKYの拓也に連絡を取った。
月曜日。ゆりとの勝負は後1週間。こんな事をしている暇はない、と言われるのかもしれない。
SKYがオープンした19時丁度に、その店に踏み込んでいた。
今日は雪菜と共に元木と同伴が入ってる日だった。
夕方に行けない有無を伝えると、もちろん雪菜は厳しい言葉をぶつけた。当たり前だ。約束をしていたのだから。
それでもわたしは、美月を放っておくことが出来なかった。あんな子供みたいに泣きじゃくる美月を見てしまったら…放っておく事なんて出来ないよ…。

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