【完】さつきあめ〜2nd〜
おはようございます!威勢の良いホストたちの挨拶が聴こえて、入り口から夜なのにサングラスをかけたホストに染まり切っている男が、堂々としたいで立ちで歩いてくる。
悔しい事にどれだけ非道だろうが、この世界で成功を手にしてる人間にはオーラがある。
彼も正にそのひとりで、人間を輝かせるひとつに自信があるというのはあながち嘘ではないらしい。
真っ直ぐにこちらを目掛け歩いてきた彼は、ソファーに重く腰をおろして、サングラスを外した。
整形でもしたように綺麗な男だなって思ったのが、彼に初めて会った時の印象だった。
でもカラコンの先の茶色の瞳には何が映っているか、分からない。
すぐに蓮は別のホストに耳打ちをして、前かがみになってわたしへ分かりやすい程の造り笑いを浮かべる。
「さくらちゃんじゃん!」
何を考えてるか分からない男。
なのに決まってこの世界で輝ける才能を持っている人間は、皆強い光りと鋭い眼光で人を真っ直ぐに見つめる人が多いんだ。
「すいません……忙しいのに…」
「ほんとー!俺ちょー忙しいんだよ?!
さくらちゃんとこんな事してる間にいくらお金が動かせると思ってんだよー。
でも拓也があんまり頼むからさ、今日来たってわけ」
「もちろんこの時間は蓮さん指名なわけですから……
その分の金額はいくらでも請求してください」
「あはっ!さくらちゃん金持ってそーだもんね!
いま、ONEのゆりとやりあってるんだっけ?じゃあ、遠慮なくー!ドンペリくださーい!ロゼね~」
「いくらでもお金は払いますけど……!!話は聞いて下さい!」