【完】さつきあめ〜2nd〜
兄貴が優しい顔をして、俺を見つめ頷いた。
そんな事思っちゃいなかった。この人がそんな事を考えてくれていたのすら
だって俺がなりたかった人間は宮沢朝日。目の前にいる男そのものなのだから
でも自分が劣っていて、どうしようもないコンプレックスの中、この人の手にしている物全てを奪う事しか考えていなかったのだから。
そうする事でしか自分を保てないような弱い人間だったから
「お前は俺より全然人の気持ちが分かるし
女の気持ちもずっと考えてあげられる人間だから、お前は間違いないと思う。
それにきっとこの夜に思い入れがあるのは俺なんかよりよっぽどお前の方だと思うから
光は良い経営者になると思うよ。最初は親父の力もあったかもしれないけど、光ならだいじょうぶだろ……
だから…まぁ、七色の事は頼む」
「兄貴……」
「俺たちは、仲の良い兄弟ではなかったな……」
ふと、兄貴が煙草を吸いながら再び天井を見つめて誰に言うでもなく呟く。
目を細めて、昔を懐かしむように
「綾って共通の守る存在がなかったらもしかしたら昔から仲良くなんかもなかったのかも。
でも俺は…この家に来て、お前に出会って救われた……」
「救われた…?」
そんな事思っちゃいなかった。この人がそんな事を考えてくれていたのすら
だって俺がなりたかった人間は宮沢朝日。目の前にいる男そのものなのだから
でも自分が劣っていて、どうしようもないコンプレックスの中、この人の手にしている物全てを奪う事しか考えていなかったのだから。
そうする事でしか自分を保てないような弱い人間だったから
「お前は俺より全然人の気持ちが分かるし
女の気持ちもずっと考えてあげられる人間だから、お前は間違いないと思う。
それにきっとこの夜に思い入れがあるのは俺なんかよりよっぽどお前の方だと思うから
光は良い経営者になると思うよ。最初は親父の力もあったかもしれないけど、光ならだいじょうぶだろ……
だから…まぁ、七色の事は頼む」
「兄貴……」
「俺たちは、仲の良い兄弟ではなかったな……」
ふと、兄貴が煙草を吸いながら再び天井を見つめて誰に言うでもなく呟く。
目を細めて、昔を懐かしむように
「綾って共通の守る存在がなかったらもしかしたら昔から仲良くなんかもなかったのかも。
でも俺は…この家に来て、お前に出会って救われた……」
「救われた…?」