【完】さつきあめ〜2nd〜
「俺のせいなんだ…。
あいつ、本当はずっと朝日が好きだって俺に言ってて…でも俺はそれをずっと許せなかったから
さくらが自殺する前の日俺あいつに会ってたんだ…そこで酷い事を言った……
だからあいつは死んだんだ…きっとさくら、俺の手前兄貴にちゃんと気持ちを伝えてなかったと思う…
でもあいつは本当に兄貴が好きだったんだ…」
「え……何それ…」
口を開いたのは綾だった。
目の前の兄貴は一切表情を変えることなく、俺を見つめていた。
「本当に…本当にごめ……。
俺があいつを…殺した…
それなのに…ずっと兄貴のせいにして…俺が本当の事言えなかったから…あなたはずっと苦しんで…」
兄貴のためでも、さくらの為でもない
自分が苦しみから逃れたくて、ずっと隠し続けた。
けれど、罪は罪のままで、抱えきる事の方がずっと苦しくて
俺がさくらと兄貴の事を認めてあげられていたのなら、あの日さくらはきっと死なずに済んだ。
俺がさくらを苦しめて、殺してしまった。
なかった事にして、自分の罪を隠して、そして今も、あなたの顔を真っ直ぐに見られない
本当の俺は、有明光は皆が思っているような人間じゃない。