【完】さつきあめ〜2nd〜
朝日SIDE③
朝日SIDE
大切な家族だから。
そう言った幼い光。
あの日からお前はいつだって俺の光り。
宝物のように、尊い存在だった。
俺にとっても光は大切な家族で、守りたい物だったのに…。
大切にしたかったのに。どこかで感じていた劣等感。
だからさくらの自殺の真相を聞いた時に光が泣き出したのを見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
泣いてしまったのは、さくらが本当に俺を好きだったとか、俺のせいで死んだとか、そういう事じゃなくて
光にずっとひとりでそんな想いを抱えさせてしまったのが、申し訳なかったからだ。
俺が自分の気持ちを隠して、光とさくらを見守ってやれるくらい大人だったのなら、さくらは死なずにすんだし、光はこんなにも苦しまなくて済んだだろう。
思えば形のない物を信じれないのが俺の悪い癖で
さくらの想いを光から聞いた時もいまいちピンとはこなかった。どこまでも疑ってしか生きれないのは悲しい事だと思う。
それに原因がなんであれ、あの時の俺がもっとしっかりとしていたのなら、何があってもさくらは死ななかったと思うからだ。だから光のせいではないのだ。
それでもずっとひとり思い悩み全てを背負ってきた光の背中を見ていると自然と涙がこぼれてきた。
光は自分が皆の思っているような人間ではない、と言った。