【完】さつきあめ〜2nd〜
「ここ数日調子が悪いと思って、さくらちゃんとの売り上げも僅差になってたけど…
やっぱりバースデーだもんねぇ…。まぁそんじょそこらのキャバ嬢とは違うって事は分かってたけど…」
菫が珍しく難しい顔をしていた。
「それでもあたしは今あたしが出来る事を真っ当するだけです…」
そんな事は心の奥でずっと決めていた事。
この勝負が初めから不利である事は承知で、バースデーがある事だって分かっていた。
今更じたばたしたって仕方がないよ。ここまで自分の力だけじゃなく、沢山の人の力で何とか踏ん張ってきた。
「こんな不利な状況になれば絶望してもおかしくないけどねぇ」
「…でも、菫さんたちがいてくれるから。
それに逆にONEでラッキーだとも思いますよ。
ONEほどの大きい箱なら指名で来てくれたお客さんを帰す事もないし
ゆりさんの売り上げは大きいけど…ゆりさんはひとりひとりの売り上げが大きな人だから……
もっと小さな箱だったら指名客自体が入れなくなってしまっていたかも…そしたら本末転倒ですもんね!」
「あなたって…ほんと…
まぁ雪菜やあなたに協力してくれてる人たちも全然諦めてる感じもしないしね。
まぁあなたが諦めて絶望してる事が本末転倒なんだから、当のあなたが呑気で良かったわ」