【完】さつきあめ〜2nd〜
営業終了後、いくら飲んでも酔わない少しの緊張感と高揚感があった。けれど最後のお客さんを見送って、お店の中に入った瞬間、一気に酔いが回ったように世界がぐるりと回った。
何杯飲んだんだろう。何本シャンパンを空けただろうか。片づけをしていた黒服の手の中にある沢山のボトル。フロアでふらつくわたしを支えるように黒服が駆け寄ってきた。
「だいじょうぶですか?!さくらさん!」
「だいじょぶ……」
駆け寄ってきた黒服によって、ソファーに座らされた。
「水飲みますか?」
「うん…ごめん。お願い」
ソファーに横になると、天井のシャンデリアが何重にも見えて、光りが縦に横に忙しなく揺れていく。
さっきまでの盛り上がりとは対称的に静まり返るフロアの中で、目を閉じたら色々な事が頭を巡った。
結局凛とゆいはラストまでいてくれた。
あの卓だけで相当の売り上げに繋がった。
ONEのナンバーに入っていてもおかしくない実力を持っているふたりの事だ。
涼と遥も来てくれたし
はるなと綾乃も同伴で来てくれた。
高額なシャンパンを卸してくれた。
由真も来てくれた。