【完】さつきあめ〜2nd〜

「あなたは馬鹿みたいって思うでしょうね……」

それが、この人の中にある弱さだった。
誰にも見せない弱さだった。

「それでもあたしにとって朝日は全てで
朝日の為だったらキャバ嬢というゆりなんてどうでも良かった。
ナンバー1なんていらなかったし、お金なんか必要じゃなかった。
あたしが欲しかった物は、朝日だけで、だから朝日がいないのなら、もう何もないものと同じだった。
あの人が手に入らないのなら、あの人の居場所なんて全部壊れてしまえばいいって思ってた…。
だから有明さんの話に乗った。どうせ壊すなら、朝日が1番傷つくやり方で壊れてしまえばいいって思っていた……」

ゆりの想いの欠片に触れて、どれだけ彼女が朝日を愛していたかを知る。
わたしはゆりと朝日の過ごした日々を知らない。でも人を大切にし、愛すことの出来る朝日なら、ゆりを朝日なりに大事にしていたのは分かっていた。

「どうしてあなたは……あたしが1番欲しかったものを軽々と手に入れて…
そのくせそれを受け入れないで…ナンバー1になろうとそんなにも足掻くのよ……」

「あたしの世界は…ゆりさんみたいに朝日だけじゃないから……」


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