【完】さつきあめ〜2nd〜
「でも……もしも許されるのなら…」
瞳を閉じれば、いつだって懐かしい光景が浮かんでは消えた。
どの居場所にだって、大切な人たちがいてくれた。
けれど、やっぱり大切だったものたちが詰まっていたのは、始まりのあの場所だったから。
「シーズンズにもう一度戻りたい…」
「さくら……」
「美優ちゃんはもういないけど…
綾乃ちゃんやはるなちゃんや深海さんがいて
高橋くんもいてくれたら最高なんだけど」
その言葉に、高橋は頭をかいて笑った。
美優がいて、綾乃やはるながいて、深海さんや高橋くんもいる。
そして、あの場所には、大好きだった頃の光も確かにいた。
「でも俺ちょ~優秀だからシーズンズに戻るのは許されなさそうっ!」
「確かに…。けど自分で言うなっつーの!!!」
「だって俺ってかなり付け回しの才能もあるし?仕事もバリバリ出来ちゃうから?
こうやって急遽ONEの店長押し付けられてもやり切っちゃうし?」
「高橋くんは謙虚さっていう言葉を知るべきだわ」
「謙虚さなんて持ってたらいつまで経っても深海さんみたいに出世できないだろ?」
「そんな深海さんに憧れてるくせに」