【完】さつきあめ〜2nd〜

ふたり顔を見合わせ笑い合う。
私たちは何故、まだ訪れもしていない未来の話をしているのだろう。
けれどその未来を互いに信じているのは、お互いの顔を見れば分かる。
わたしは七色グループを守りたかった。高橋は朝日にさくらをいつまで守られる側でいさせるのだと言った。そこから始まった。
わたしは確かに強い人間ではなかったけれど、周りが思っているほど弱い人間でもなかったのだ。ちがう、わたしを強くさせる人たちがいてくれたから、ここに立っていられる。

「七色グループを守るほどの功績を残せたのなら、シーズンズに戻りたいって願いくらい叶えてくれるさ……」

「うん、そだね…。
でも高橋くんは難しいかもね…」

「そしたら俺も宮沢さんに坊主になってお願いしに行くだけさ」

「元々スキンヘッドだったじゃんか。そんなの全然罰になんかなってないね」

「うっせぇなぁーお前は!
髪が長いのはなんか俺のポリシーに合わない!」

「初めて会った時は坊主にピアスだらけで絶対仲良くなんかなれない人種だと思ったわよ!」

「だからお前は最初は大人しそうに見えたけど、ぜってぇ生意気な女だと思ってたわ!」


「高橋くんが初めての担当で色々無茶苦茶な事も言われたし、泣くなとか言われたし!
仕事に行きたくないって時も優しい言葉のひとつもかけてくれなくって無理やり出勤させられるし
ほんっと鍛えられました!!
…でも最初から沢村さんのような優しい黒服さんが担当だったらもしかしたらあたしはここまで来てはいなかったかもしれない。
だから感謝してる。あたしだって高橋くんに感謝もしてるし、尊敬だってちょっぴりしてる」

その言葉に、高橋は不敵な笑みを浮かべた。

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