【完】さつきあめ〜2nd〜
「後1日。たった1日だけど色々な物が変わっていく1日だと思ってる。
さくら、ありがとう。ここまで頑張ってくれて本当にありがとう」
あの高橋が、深く深く頭を下げる。
「止めてよ!高橋くん!まだ終わってないんだから!」
「そう、まだ終わっていない。何ひとつ。
明日、お前はゆりさんの売り上げを抜いてナンバー1になる。一緒に頑張ろう…」
「何か高橋くんにそう言われると心強いな。
…頑張ろうね」
わたしが背負っているものは、わたしだけの想いではない。
でもだからこそ、弱いわたしがこんなにも強くなれる気がする。
孤独だと思った夜にさえ、わたしはわたしが思う以上に誰かに愛されていて、支えられていたって
今なら信じれるから。
この戦いを終えて、未来の事なんて何も分からないのに未来の話をする私たち。分からないのに、私たちが夢を見ていた未来はどこまでも続いていく気がした。
夢なんて今はなくてもいい。
あの日々を、シーズンズで働いていた頃を
始まりの場所だったあの場所で
一緒に笑いあえていた人たちとの日々を取り戻せるのならば
そして願わくば、あの人の笑顔がそこにあったのなら。