【完】さつきあめ〜2nd〜

「確かに~っ!!あたしも明美さんと話するのが楽しみのひとつでもあります!」

「あんたら~……もう指名料とかとっちゃおうかしら~しかも高額な奴~
宮沢さんに提案しておくわ~!」

けらけら笑いながら明美はわたしの髪を手早くセットしていく。
今日もいつもと変わらずお任せで、でもいつもより少し華やかな感じのするハーフアップにしてくれた気がする。
ONEが残るにしても何にしても、彼女にセットしてもらうのは今日が最後かもしれない。
雪菜の言う通り、専属のセットの人がいるONEの更衣室。特に明美はお母さんくらい歳が離れているけれどフランクな人で、出勤前に彼女と世間話をするのが、わたしの中の楽しみのひとつになっていた。

「宮沢さんのお父さんって美容関係の社長さんなんだって!
七色グループのセットの場所はあるけど、正式に美容室でも作っちゃえばいいのにね~!
あたしたちキャバ嬢だけじゃなくて、一般の女の子でも入れるような!」

「え!朝日のお父さんって美容関係の社長さんなんだ……」

「そうみたいだよぉ~!都内でもエステとか美容室とか何店舗も経営してるらし~よ!」

「知らなかった……」

家族の話はあんまり朝日とした事がなかった。こっちから聞くのもなんだか気まずかったし。

「いまはさーキャバ嬢社長とかってアパレルとか美容室とか経営してるキャバ嬢だっているじゃん!
さくらちゃんもそーゆーのになっちゃえば?!宮沢さんにお願いして!そんで七色グループで美容室開いて明美を正社員にしてもらうの~っ!」

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