【完】さつきあめ〜2nd〜
自分のロッカーを開けて、ドレスを1着取り出す。真っ白いそのドレスは、思い出深いドレスでもある。
今日と言う日にそのドレスを選んだのは、何故だったろう。
’夕陽は白が1番似合う’
いつかの誰かの言葉を思い返していた。
全身鏡にそれを合わせて、髪型ともばっちり合っているのを確認して、やっぱり今日はこれを着ようと改めて思った。
雪菜が隣に立って、それを覗き込む。
「わぁ~!さくらちゃん似合うよぉ~!すっごく綺麗なドレスだねっ!」
「これ実は、七色グループに入って初めてのバースデーで着たドレスなんですよ。
そんなに高い物ではないんですけどね……」
「そぉなんだ!さくらちゃんは白が1番似合うもんねっ!
うんうん、いい感じ。ほんっとゆりは黒でさくらちゃんは白だよね~オセロかって~!!」
「はは、まるで光と朝日みたい……」
わたしがぼそりと呟いた言葉に、雪菜は目を丸くした。
「どっちが白で、どっちが黒?」
「初めは、光の方が白っていうか…あたしは朝日と光が光と影に見えたんです。
光は名前の通り光りがすごく似合う人だから…
でもそれって状況によって変わっていくもので…本当は朝日が光で、光が影だったのかなぁと思う事もあって」
「そうだね。人ってそういうもんだよね。
正しさも状況によって変わるもんだから……」