【完】さつきあめ〜2nd〜

THREEに無理やり移籍をさせられて、初めてのバースデーのことだった。
ナンバー1でいて、朝日の勝手な人事異動に光と引き離された日。
光はいつだってわたしは白が1番似合うと言ってくれた。

キャバ嬢としてのさくらを引き立たせてくれたのは、いつだって宝物のような光の言葉だった。

あのバースデー。
白が好きだと言っていたお客さんから贈られた花束たちも白い花がベースの物が多くて
わたしも好んで、白い物を身に着けていた。

けれど、あの中にひと際目立つ薔薇の花束を贈った人がいた。
白い花が1番好きなのに、空気を読まずに真っ白い花束の中に紛れていた青い薔薇の花束。
そんな奇抜な事をするなんて、この世界にひとりしかいないと思っていた。あの頃は朝日の事がちっとも好きなんかじゃなかった。それでもその花束を贈ったのが朝日だっていうのはすぐに気が付いた。

’さくらは青い薔薇の花ことばを知っている?’

どうしてあの日の事を、今日思い出しているんだろう。

青い薔薇の花ことばは、不可能。
元々青い薔薇は生み出す事が不可能だと言われていた。
けれど、14年の時をかけて青い薔薇を生み出す事に成功した。

だから、青い薔薇にはもうひとつの花言葉が付け加えられた。

’夢かなう’と。

そして、七色グループで2回目に迎えたバースデー。
この時にはもう朝日を好きになっていた。でも互いに想いを伝えあう事がどうしても出来なくて、ふたり離れていた。


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