【完】さつきあめ〜2nd〜
わたしのバースデーに、わたしの1番嫌いな薔薇の花を贈る人なんて、あの人しかいなかった。
その時同伴した小笠原が1番に気づいて、見事だねと言ってくれた
’ローザ・ヴァンデラ’七色の装飾された薔薇の花束。
ローザ・ヴァンデラの花言葉は’無限の可能性’と’奇跡’
朝日がそれを知ってか知らずかは分からないけど、あの人はその時々にわたしに前向きな言葉を、大嫌いだった薔薇にあしらって贈ってくれるような人だった。
そんな不器用な優しさにどれだけ助けられただろう。
もう、朝日はわたしの誕生日に薔薇の花束は贈ってくれないかもしれない。
けれどこの白いドレスを着て、あのバースデーの事を思い返せば、わたしは何度でもここで戦っていけると思った。
鏡に映った自分を見て’だいじょうぶ’何故かそんな気持ちになっていった。
12月最後、年末。最後の営業日。
ゆりのバースデーのラスト。最後の戦いが幕を開ける。