【完】さつきあめ〜2nd〜

「ご、ごめんなさい。だって沢村さんすごく素敵な人だし…さっきレイさんが言った通りわたしとレイさんは好きになるタイプが似てるから…」

「あーーーさくらちゃん沢村さんに惚れちゃった?」

「ないない!絶対ないから!」

「でも沢村さんはだめだよ?お店の女の子たちも黒服も皆わかってるんだから。
気づいてないの本人くらいなんじゃないの?
沢村さんずっと由真ママに片思いしてんの」

「え?!そうなの?!」

「そうそう。見ててじれったくなるくらいわかりやすいんだもん~!
でも由真ママは男みたいにさばさばしてるから全然気づかないし、沢村さん見てたらママの事が好きですって顔に書いてあるようなもんだよ?」

柔らかい物腰で落ち着いた沢村さんと、少し気が強いけれど綺麗な由真。
確かにふたりが並べばよく絵になる。どこからどう見てもお似合いだ。
お似合い、とふたり顔を見合わせて笑い合ってたら、なんだかお互い可笑しくなってきて、まるで昔からの友達みたいだね、とやっぱりレイは人懐っこい笑顔をわたしへ向けた。

レイと過ごしていた時間は短かった。
その短い期間の間で、深い話をしたのは一度だけ。
あの病院での話だ。レイは光の過去をあの時知っていた。それでもあの時は互いに同じ人が好きだったライバル同士だったから。

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