【完】さつきあめ〜2nd〜
光に好きになって欲しくて、光に認めてほしくて、たったひとりの人の為に争いあっていた。だからレイがこんな人だったなんて今日初めて知った。
こんな風に笑う事も、こんな大雑把な性格だったことも。
「さくらちゃんともう一度話したかったってのは本当なの」
「あたしもです…。レイさんとは1回ちゃんと話してみたかった」
レイはグラスを置いて、遠慮がちにこちらを見て、ぽつりぽつりと話始めた。
「さくらちゃん、光とは……」
ふとした仕草で、彼女の長い髪が揺れる。
耳にぶらさがっていたイヤリングは、いつか光に貰った物だと言っていた。
あの頃彼女は強く強く光を愛していた。自分の何もかもを失っても、強い愛を持っていた。
レイの言葉に、わたしは首を横に振る。
「光とは全然連絡も取ってないし、何にもないんです…」
その言葉に、レイは眉を下げて笑った。
「レイね、あの頃さくらちゃんの事が本当に羨ましかった。
レイは光の事を昔から知っていて、光が七色グループで隠してる事も大体知ってて、皆が知らない光を知ってる事はレイにとって優越感に浸れる事のひとつだったの。
でも光は昔とはいつの間にか変わっていってた。光は絶対にレイを抱かないし、レイの物にはなってくれないって、いつしかわかった。だって光は自分を本当に好きな女は抱かないし、彼女にしなかったんだもん。
でもね、さくらちゃんといる時の光は違ってたし、さくらちゃんの話をする光はまるで昔の光だった。レイが大好きだった頃の光なの。
だからかな…光はさくらちゃんが本当に好きなんだなーって思って、すごく悔しかった…。レイの方がずっと前から光を好きで、レイの方がずっと強い想いなのに…って」