【完】さつきあめ〜2nd〜
「さくらは、おっさんに会ってるの?」
その言葉に、首を横に振る。
ゆりとの勝負が終わって、七色の存続は間違いのない物になった。
朝日には数え切れない程の感謝をされたし、その後も色々な事を話した。
そして朝日はとある話を切り出した。
自分はオーナーという立場をおりるという事。
そして、七色とダイヤモンドは合併をして、全ての権利を光に譲るという事。
聞いた時は心底驚いたし、何で?としつこく何度も問いただしてしまった。
納得もいかなかったし、これからの朝日の事も気になった。
「’夢’ではなかった、って言ってた…」
「夢?」
「朝日にとって、七色グループは大切な物だったけど、夢ではなかったって。
自分のお父さんを超える為にとにかく何か仕事で成功したかった。その時たまたま目の前にあった選択肢が夜の仕事だったわけで、それが自分自身の夢ではなかったと言っていた。
だから今度はゼロから、自分がしたい事をもう一度見つめなおしたいって言ってた」
「無一文でかぁ?俺なら絶対無理だねぇ。無理無理!」
「朝日が本当に欲しかった物ってお金とか地位じゃなかったんだろうね。
この世界にいて何もかも手に入れたけど、結局空しくなるばかりだって言ってた……
それに比べて光は最初はそこまで乗り気じゃなかったかもしれないけれど、お父さんの力でじゃなくて自分の力で夜の仕事がしたいって気持ちが強くなっていったって言ってた。
だからオーナーとしては光のが相応しいんだって…」