【完】さつきあめ〜2nd〜
「もぉ~…無理しなくったっていいのにさぁ…」
「別に行きたかねぇよ。遥さんに誘われてるから仕方がなくだ。
それに綾もうるせぇし」
「涼の奢りでアルマンドでも飲んじゃおうかなぁ~!」
「ふざけんな。あれはたった1回っきりって言っただろうが!!なんて言っても俺はもう普通の会社員だからなっ!」
「あはは~分かってるって。
涼、ありがとうね」
「なぁ、さくら、おっさんは?」
「知らないよ~!あれっきり連絡なんか取ってないもん~!!」
「…それでいいのか?」
涼の真剣な眼差しが、わたしを突き刺すように見つめる。
ふわりと舞い上がった風と共にわたしたちの間に桜の花びらがゆっくりと舞い落ちて行った。
「朝日の心配ならしていない。
あの人は1から何かを作り上げて行ける人だから」
「そうじゃなくてっ、お前はそれでいいのかって。
お前たち、全然やり直せるんじゃないかって……
だって俺から見てもおっさんはどうしてもさくらが好きだと思うし、それはさくらだって同じだろ?」