【完】さつきあめ〜2nd〜

「せっかくの誕生日だけどプレゼントは用意してないんだ」

「いいよ、そんなの。
光がお祝いしに来てくれただけでも十分嬉しいし」

「もしも何か欲しい物があるんだったら何でも言って」

「え~…特に欲しい物なんてないよ!」

「いっつもそうやって言うよなぁ…」

「いや、だってあたしだって光の誕生日あげてないし
この間光誕生日だったよね!おめでとう!遅くなったけど……」

「あぁ、ありがとう」

「…光、ごめんね……」

「ごめんねって何が」

わたしの言葉に、光は笑顔を見せる。

「全部」

謝っても謝り切れないような気がしていた。
わたしはいつだって光の優しさに甘えてきたし、いざとなると頼ってしまうし
それでもこうやってたまに会えばやっぱり嬉しくなるし
わたしの中で、光ってやっぱり王子様で、どうしたって特別な存在で
朝日とはまた違った形でわたしを見守り続けた人。




「光はずっとあたしを信じてくれていた」

「信じる?」

「あたしね、ゆりさんとの勝負の時、1回諦めかけたんだよ。
恥ずかしい話、限界だって思った事もあった…。
でもそんな時でも光に助けられた気がする。
諦めかけた時、それでいいのかって光の声が聞こえた気がした。
昔光にキャバ嬢として全然認められてないって悔しいって思ってたのに、光はずっとあたしを信じてくれていた」


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