【完】さつきあめ〜2nd〜

「絶対だよっ!あたしだってそのひとりだし!
それに光、ゆりさんとの勝負の時、ゆいと凛さんに連絡してくれたでしょ…。
多分あのふたりの売り上げがなかったら…あたしゆりさんに負けてた…」

「俺がゆいたちに連絡しようがしまいがさくらの人徳がなけりゃあいつらだって店に来ねぇよ」

「それでも…やっぱりあたしは光に守られていたと思う。
光はあたしの中でジジイなんかじゃないし
王子様だし、スーパーマンなんだよ。
一生……」

「あ~あ~…全部手に入れたと思っても
本当に欲しい物が手に入らなかった~…。
でもこんな俺を振った事、絶対将来後悔する事になると思うよ!こんなかっこよくってお金も持ってて良い男なんてそこらへんに転がってる物じゃないから!!」

「あはは!自信家!誰かさんみたいだねっ!」

「そんな誰かさんになりたい人生だったよ」

「…あたし光の言う通り将来絶対後悔しそう~……!
光は、一途だし女の子を幸せに出来る理想の男の人そのものだもの。
でも……」

それでも

’誰かさん’の事、暫くは忘れられそうにない。

全然消えていってくれそうにないんだ。

光の手には、朝日と同じブランドの腕時計。
VIPルームの照明を浴びて、文字盤が光っている。
それに目を落として、こちらに向ける。


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