【完】さつきあめ〜2nd〜
「クッソ趣味が悪ぃな」
その花束を見て、涼が鼻をふんと鳴らして笑う。
「あの人の考えている事は
全く理解に苦しむわ…」
「妹の綾乃が言うなら、俺にはさっぱり…。
誕生日に贈る花とは思えないね」
一昨年は、青い薔薇で
去年は、七色の薔薇だった。
そして、今わたしの手の中には真っ赤な薔薇。
真っ赤な薔薇に、黒いドット柄の、毒々しい薔薇たち。
本当に趣味の悪い、祝いの席で贈るなんて信じられない。
けれど、その花束を抱きしめて、涙が止まらない。
「ほんと、宮沢朝日にしか贈れない花束だわ。
俺には考えもつかない。
知ってる?この薔薇の花言葉」
目を閉じては、涙が零れ落ちる。
それを止める術なんて、知らないのだから
光の言葉に首を横に振る。
きっとその薔薇に込められた想いが何であっても
この世でわたしをここまで泣かせられる人は、あなたひとり。
光はわたしの目をジッと見つめ、優しい眼差しのままゆっくりと呟いた。
ドット柄の薔薇の花束
花言葉
花言葉は……
’君を、忘れない’
その花束を見て、涼が鼻をふんと鳴らして笑う。
「あの人の考えている事は
全く理解に苦しむわ…」
「妹の綾乃が言うなら、俺にはさっぱり…。
誕生日に贈る花とは思えないね」
一昨年は、青い薔薇で
去年は、七色の薔薇だった。
そして、今わたしの手の中には真っ赤な薔薇。
真っ赤な薔薇に、黒いドット柄の、毒々しい薔薇たち。
本当に趣味の悪い、祝いの席で贈るなんて信じられない。
けれど、その花束を抱きしめて、涙が止まらない。
「ほんと、宮沢朝日にしか贈れない花束だわ。
俺には考えもつかない。
知ってる?この薔薇の花言葉」
目を閉じては、涙が零れ落ちる。
それを止める術なんて、知らないのだから
光の言葉に首を横に振る。
きっとその薔薇に込められた想いが何であっても
この世でわたしをここまで泣かせられる人は、あなたひとり。
光はわたしの目をジッと見つめ、優しい眼差しのままゆっくりと呟いた。
ドット柄の薔薇の花束
花言葉
花言葉は……
’君を、忘れない’