【完】さつきあめ〜2nd〜
相変わらず綺麗な彼女は
現在昼の仕事と、週に数回文月の手伝いに来てくれている。
翔が産まれるまで心配ばかりしていたのに
翔が産まれてからの美月は、まるで人が変わったようにしっかりとしていった。
蓮とは話し合いの末に結婚はしなかったからシングルマザーだけど、彼も彼なりに考えてくれたらしく、翔を認知してくれた。
月に数回会ったりもしているようだけど、美月は20歳になるまで翔をひとりで育てる事を決断した。
そしてちょうど七色グループが託児所を作って、数年彼女は双葉で働きながら、高卒の認定試験を受けて、事務の資格も何個か取った。
この5年間、彼女の頑張りを見続けてきた。
美月は仕事を頑張りながらも、翔との時間も大切にして、いまやしっかりとした’母親’になっていた。
それを嬉しく思う。
守る物が出来たら、人はこんなにも変わっていくのだと、彼女が証明してくれた。
翔の屈託のない笑顔を見て、改めてそう思う。
「あ、これ、ゆりさんの雑誌?あたしも買いました!」
「そうそう。めっちゃ文月の宣伝してくれてて笑った…」
「へぇ~、うわぁゆりさん芸能人みたいじゃん!」
「美月ちゃんも声掛かってるんでしょ?やればいいのに…」
「昔のあたしならやってたかもしれないですねぇ。
でも今は考えられないなぁ…。
あたしは細々としてても翔との生活が幸せであればそれでいいので」