【完】さつきあめ〜2nd〜
「ほんと……美月ちゃんは変わったよね」
「さくらさんは何も変わらないですけどね!」
「ちょっと!!!それって嫌味?!」
美月が笑いながら、雑誌をぺらぺらとめくる。
今が1番幸せ、と言い切る彼女は
昔の彼女よりずっと綺麗だ。
この5年間、変わった物は沢山ある。
そして変わらないものだって、この世界には溢れていた。
まず託児所を作ろうとしたのは、朝日の提案で、美月のようにシングルで子供を育てているキャバ嬢は実に多い。
そんなお母さんたちが働きやすいようにと、朝日が提案して、光が叶えた。
そして、嬉しい事がもうひとつ。
七色グループが作ったヘアサロンがオープンした。
ゆりを広告塔に、一般人でも利用出来るようになっているのだが、美容学校を卒業した後の美優が、そこに就職した。
だから、また職種は違うとはいえ、美優と一緒に仕事が出来るようになった。
けれど、シーズンズはこの5年で大分変わってしまった。
深海は今、シーズンズにはいない。現在はONEの店長をしている。
あくまでも、現場で働くのが好きだとポリシーのもと、けれど役員会議には出席している。
そして高橋は進藤と同じ部長という立場で、もっとびっくりした事は双葉の沢村が社長という役職を与えられた事。
適役だとは思う。
けれど由真の側にずっといたかった沢村はそれをずっと拒否してきた。でもその後押しをしたのは由真自身である。