【完】さつきあめ〜2nd〜
「お誕生日おめでとう!!」
どこまでお客さんが呼べるか不安だった。
けれど、小笠原と同伴出勤をした双葉は既に満席状態だった。そのすべてがわたしのお客さん。
今日はわたしが主役の日。
お店のエントランスから、ホールの中までびっしりとお花が埋まる。
ここはお花屋か、と誰かが突っ込んだ。
様々な色の花が双葉を彩っていく。その中で異彩を放つ花に目が止まる。大きなスタンドの花の中で、それでもその中で埋もれてしまわない輝きを放っていたひとつの花束。
名前はない。
名前はなくても、それを贈った人が誰かはすぐに分かった。
少しだけ足を止めて、すぐに小笠原とホールを歩き出す。
「綺麗だね」
「ほんと、すごいお花ですね」
「いや、確かにどれもすごい花ばかりだけど、あれ。
ローザ・ヴァンデラ」
「ローザ・ヴァンデラ?」
小笠原の視線の先に、虹色に染め上げられた大きな薔薇の花束が映る。
先ほどわたしが足を止めた花と一緒だ。
「オランダで生産されている白い薔薇に特殊な液体を吸い上げさせて内部から着色する、とても珍しい薔薇だよ」
「でもあれは本物じゃないと思いますけど」
「けれど本物みたいに綺麗だね」
どこまでお客さんが呼べるか不安だった。
けれど、小笠原と同伴出勤をした双葉は既に満席状態だった。そのすべてがわたしのお客さん。
今日はわたしが主役の日。
お店のエントランスから、ホールの中までびっしりとお花が埋まる。
ここはお花屋か、と誰かが突っ込んだ。
様々な色の花が双葉を彩っていく。その中で異彩を放つ花に目が止まる。大きなスタンドの花の中で、それでもその中で埋もれてしまわない輝きを放っていたひとつの花束。
名前はない。
名前はなくても、それを贈った人が誰かはすぐに分かった。
少しだけ足を止めて、すぐに小笠原とホールを歩き出す。
「綺麗だね」
「ほんと、すごいお花ですね」
「いや、確かにどれもすごい花ばかりだけど、あれ。
ローザ・ヴァンデラ」
「ローザ・ヴァンデラ?」
小笠原の視線の先に、虹色に染め上げられた大きな薔薇の花束が映る。
先ほどわたしが足を止めた花と一緒だ。
「オランダで生産されている白い薔薇に特殊な液体を吸い上げさせて内部から着色する、とても珍しい薔薇だよ」
「でもあれは本物じゃないと思いますけど」
「けれど本物みたいに綺麗だね」