【完】さつきあめ〜2nd〜
「そんな事ない!光は……」

「誕生日だっていうのに、そんな大きな花束も用意してやれねぇし。
夕陽に何かを渡したかったけど、きっとお前俺からのプレゼント受け取ってくんねーだろ?そう思ったらやっぱり怖くなってな…」

「そんな……」

そんな事ない。ハッキリそう言いたかったのに、どうしても言えなかった。
光が思っている通り、わたしは光からもう何も受け取る事はないだろう。それは昔わたしが朝日へしていたように。
レインボーローズの花束をぎゅっと握りしめる。あんなにも大好きだった光だから、光にはハッキリと言わないといけない。

「光…仕事はどう?」

「うん、お陰様で順調。でもやっぱり経営側に回るって大変なんだなぁって日々思ってるよ」

「ダイヤモンドの事は結構お店の人からも聞いてる…。
お客さんがすごく入ってるって。双葉に来るお客さんもダイヤモンドに行ってるお客さんも沢山いるから…いいお店だって話も聞くよ。
光が作るお店だもん!成功しないわけないよ…」

「俺って、夕陽の中で結構な完璧な人間だよね」

「光は出会った頃からずっと完璧な人だったよ、女の子の扱いも上手だし、優しいし、偉そうにしたりしないし…絶対光はどんな事をしても成功する人だと思ってる」

「夕陽は俺、買い被りすぎな?」

< 98 / 826 >

この作品をシェア

pagetop