壊れそうなほど。

「ユキー、なんでそっち向くの?」

わたしはユキのパーカーのフードを、くいくいっと引っ張りながら言った。

「もう寝るから」

「えー、こっち向いてよ」

「なんで」

「だって寂しいもん」

少し拗ねてみせれば、ユキはふう、と小さく息をついて、こちらに向き直った。

「これでい?」

「あ、あとね。おやすみのチューしたいな」

「はい、おやすみ」

ユキは淡々と言って、わたしの額にちゅっとキスを落とす。

「なんでおでこ?」

「口はダメ。寝れなくなる」

「寝れなくなる?」

「……いーから早く寝なよ。疲れたでしょ」

何度目かのおやすみをわたしに放り投げて、ユキは目を閉じてしまった。

ただ眠いだけかもしれないけれど、やけに素っ気ないから、急に不安になってしまう。
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