壊れそうなほど。
啓吾から届いていた、3件のメッセージ。
「おはよう。ごめんね、昨日充電切れたまま寝ちゃってた!」
右手の中指が信じられないスピードで言い訳を入力して、一瞬の躊躇いもなく送信ボタンを押す。
『おはよう。了解(笑)今日も頑張れよ』
啓吾からすぐに返信が来た。……大丈夫、何も疑われていない。
「ありがと」
ため息をつきながらスマホを手放し、バスルームへ向かった。
……わたしは何がしたいのだろう。
心も体も裏切ってしまったのだ。きっともう、結婚なんてやめた方がいい。
なのに、言えない。言うどころか、いざとなったらこうして取り繕う。
啓吾を傷つけたくない? ううん、啓吾を傷つける自分になりたくないだけ。
とっくに裏切っているくせに。ずるくて汚い。
熱いシャワーを頭からかぶった。
こんなお湯じゃぜんぜん洗い流せないほど、わたしはとても汚い。