壊れそうなほど。
ベッドに入って部屋の明かりを消したものの、やはり沙奈のことが気にかかり、何の着信もないのに、何度も携帯を見てしまう。
どうしてこうも不安になるのか。……沙奈に愛されている自信がないのか?
出会った頃、まだ18歳だった彼女には、高校時代から付き合っていた彼氏がいた。しかしうまくいっていないようで、よく相談に乗っていたのだ。
その彼と別れた夏に、頼れるお兄さんヅラして滑り込んだ。弱っているところにつけ込んだ形になり、始まり方に難を感じる。
けれど、あれから2年以上が経った今、交際は極めて順調だ。彼女が卒業すると同時に、結婚する約束までしている。
プロポーズを受けてくれたのだ、愛されているに決まっている。不安になる要素なんて、もうどこにもない。ないはずだ。