壊れそうなほど。

……連絡なし、か。

携帯を覗くのはもう何度めだろう。時刻は午前3時になろうとしていた。

やはり、今から沙奈のマンションに行こうか。おれが住んでいる会社のこの寮から沙奈の家までは、車でほんの10分くらいの距離なのだ。

……いや、行った所できっと寝ているだけだ。

そもそも、家にいない可能性なんてあるのか? おれは何を心配している? まさか沙奈が浮気でもすると思っているのか?

バカバカしい。ありえない、沙奈に限って。

根拠もなく疑う余裕のない男にはなりたくないし、そんな姿、沙奈に見せられない。

今にもベッドを飛び出したい気持ちを必死で飲み込んで、かたく目を閉じる。

『ふーん、沙奈の彼氏?』

不意に、あの優輝斗とかいうやつの、おれを鋭く睨む顔が浮かんだ。

なんで今、あいつの顔なんか……。
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