壊れそうなほど。

正門前まで歩くと途端に賑やかになった。野外ステージではそこそこ人気のお笑い芸人がトークショーの真っ最中で、観客席はぎゅうぎゅうに埋まっている。

さすが最終日で日曜日、模擬店の辺りも人だらけだ。昼どきだから尚更か。

おれとトオルは、留学生達のテントで水餃子やらチヂミやらカレーやらを買い込んで、ステージ近くの芝生に座り込んだ。

「そういや昔、ここで花見したよな」

「したなー。あれ、花火もしなかったっけ?」

「花火は中庭な。警備員に見つかってさ」

「ダッシュで逃げたやつか! 若かったなあ」

学生の頃を振り返ると、すっかりオッサンになった気分になる。まだ24なのに。

昔話に花を咲かせながら、やたら多国籍な昼食を済ませたおれ達は、人混みの中を食堂へと向かった。

足取りが重いのは……気のせいだ、多分。
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