壊れそうなほど。
食堂の受付には女の子が二人。楽しそうにお喋りしている。一人はわからないが、もう一人のペコちゃんみたいな顔には見覚えがあった。確かスエハジのキーボードの子だ。
「きみ、スエハ…」
「あ! 沙奈さんの彼氏さん!」
驚いた。おれのことなんて昨日見かけた程度のはずなのに、よく覚えているもんだ。
「こんにちは! 沙奈さん呼んできます?」
「あ、いや。まだ大丈夫だよ」
答えつつ、入口にでかでかと貼られたタイムテーブルに目をやった。
時刻は午後1時10分。今は修羅バンドというやつらがライブをしているらしい。そういえば、修羅場のような騒音がさっきから漏れて来ている。
『14:30 スエハジ』
沙奈はもう、奥の控え室だろうか。あとで行ってみることにしよう。
おれとトオルは、ライブ会場に足を踏み入れた。