壊れそうなほど。
「 あ、でもごめん。せっかく来てくれたけど、今日一緒に回る時間取れないかも。わたし、ライブ終わったら油そば担当なんだよね」
沙奈が申し訳なさそうに顔の前に掌を立てた。
「あ、おれトオルと一緒だから気にしないでいいよ」
「え、トオルさん!? わー、会いたい!」
「トオルは今ライブ観て…」
「沙奈ー」
おれの言葉を遮ったのは佑介くんの声。奥で優輝斗と二人、座ってこちらを見ている。
「あ、今行くー。……ごめんね、今からライブ前にちょっと打ち合わせ」
「了解。じゃあライブ頑張って」
「うん。あ、あとでトオルさんに挨拶するー」
大丈夫、何も問題なんてない。
沙奈の背中を見送っていたら、ふと優輝斗と視線がぶつかった。
その瞬間。優輝斗が、何故か不敵に笑った。
ゾクリとした。
……おれは、本当に安心していて大丈夫なのか?