壊れそうなほど。
受付にはちんちくりんがいた。俺を見るなり、
「ユッキーさん、ちょっと……」
珍しく神妙な顔つきで、俺を手招きする。
「なに」
「…沙奈さんの彼氏さんが来てます」
そう耳打ちされて、思わず顔をしかめた。今日も来たのかよ、えびす。
食堂ではこの世の終わりみたいな曲が演奏されている。修羅バンドだ。変な名前だからすぐ覚えた。
てか、こっちもこれから修羅場ンドかもしんない。……まあ、そんな気ぜんぜんないけど。
「あ、ユキ! ちょっと話が」
控え室に入るなり、沙奈がやっぱり神妙な顔つきで俺に近寄ってきた。
「啓吾が来てる、でしょ」
「えっ、なんで知ってるの?」
「ちんちくりんから聞いたー」
「あのね……啓吾、わたしに黙って来たの」
沙奈が、気まずそうな表情を俺に向けた。
ん? それ、どういうこと?