壊れそうなほど。

沙奈は落ち着かない様子で、手元のケータイのスイッチを何度も入れたり消したりしている。

そんなに不安? もし啓吾にバレたって、俺がいるからいいじゃん。

そう言いたかったけど飲み込んだ。

「普通に振る舞いなよ」

「でも、そしたらユキが嫌な思いしちゃう……」

「俺はへーき」

沙奈の頭をくしゃっと撫でた。こういうのめちゃくちゃ照れるけど、安心させたいし。

そうして、彼女の脇をすり抜けて奥に進む。いつまでもこんな入り口で話していたら、いつ啓吾が来て修羅場ンドになるか、わかったもんじゃない。

案の定、5分くらいして、えびす様が控え室に降臨した。なぜかちんちくりんも一緒。

「啓吾! 今日も観に来てくれたんだ?」

沙奈が笑みを浮かべて、啓吾の元へ向かう。

……あーこれ、結構キツい。
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