壊れそうなほど。

修羅バンドのドラムが超絶テクなのは、この大学祭中で知っていたけど。トオルのギターも上手いし、啓吾のベース!うまっ!

「すっげー……」

隣でビールを飲んでいた佑介も、手を止めて呟いた。うん、佑介もかなり上手いのに、佑介より上手い。悔しいけどシビれる。

啓吾のこと、ちょっとだけ嫌いじゃなくなった。こんな形で出会わなかったら、ぜひ一緒にバンドやりたいくらいだ。人生ってうまくいかない。

そんなことを思いながら、向かいでちんちくりんと喋っている沙奈になにげなく目をやった。俺の視線に気づいた沙奈は、嬉しそうに目を細めた。

「ユキ、飲んでる?」

「うん」

「楽しんでる?」

「うん」

「ふふ、よかった」

ちょっと顔が赤い沙奈、かわい過ぎ。好き。

……啓吾ごめん、やっぱお前嫌い。
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