壊れそうなほど。

啓吾達は宣言通り、1時間くらいで帰った。沙奈は今、それを見送りに行っている。

とりあえず帰ってよかった。やっぱり同じ空間にはいたくない。

悪いのは俺。俺がアイツの女に手を出しているだけだ。そんなのわかってる。けど……。

さっき沙奈と啓吾が話していて、気づいたら唇噛んで貧乏ゆすりしている俺がいた。だから帰ってくれてよかった。

嫉妬で気が狂いそう。しんどい。

「……ユキ」

ふいに、耳元を甘いハスキーな小声がくすぐった。沙奈、もう戻ってきたのか。

「……今日は?」

今日は? って、そんなの決まってる。

「…来れば?」

そう言ったら、沙奈がすごく嬉しそうに笑った。かわいい。照れる。

沙奈の空いている時間は、ぜんぶ俺がもらう。

そうしないと……2年にはぜんぜん追いつけない。
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