壊れそうなほど。

啓吾が帰って1時間くらいした頃、沙奈が「そろそろ帰るね」とみんなに挨拶して、食堂を去っていった。一緒に出るわけにはいかないから、10分くらいずらしてから俺も席を立った。

大丈夫、誰も気に止めていない。ニヤニヤしているちんちくりん以外は。

近くのコンビニで沙奈と落ち合った。打ち上げでいろいろ食べたから、飲み物だけ買って俺んちに向かった。

「うわー、夜はもう寒いね」

「うん」

「ね、くっついてもいい?」

「うん」

沙奈が俺の腕にぎゅっと絡みつく。かわいい。

「ユキ、大好き」

「うん」

「ユキ、うんしか言わない」

「……だって、なんか照れる」

「照れるの? カワイー」

昨日も一昨日も沙奈と歩いた夜道。

早く、これが当たり前になればいいのに。
< 134 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop