壊れそうなほど。
啓吾が帰って1時間くらいした頃、沙奈が「そろそろ帰るね」とみんなに挨拶して、食堂を去っていった。一緒に出るわけにはいかないから、10分くらいずらしてから俺も席を立った。
大丈夫、誰も気に止めていない。ニヤニヤしているちんちくりん以外は。
近くのコンビニで沙奈と落ち合った。打ち上げでいろいろ食べたから、飲み物だけ買って俺んちに向かった。
「うわー、夜はもう寒いね」
「うん」
「ね、くっついてもいい?」
「うん」
沙奈が俺の腕にぎゅっと絡みつく。かわいい。
「ユキ、大好き」
「うん」
「ユキ、うんしか言わない」
「……だって、なんか照れる」
「照れるの? カワイー」
昨日も一昨日も沙奈と歩いた夜道。
早く、これが当たり前になればいいのに。