壊れそうなほど。

俺は1人、タバコを吸いながらテレビを眺めている。でも、なんにも頭に入ってこない。

電話に出るなとは言わない。彼氏がいてもいい、俺のことなんて気にしなくていいって言ったのは俺だし、啓吾がまた勘ぐっても面倒だ。だけど……。

トイレから沙奈の楽しげな笑い声が漏れた。疑われないように、わざと明るく振舞ってるのかもしれないけど、死ぬほどイラつく。

胸が苦しい。俺の好きな子は、なんで俺のものじゃないの? なにこの地獄。

沙奈が戻ってきたのは15分後くらいだったけど、えらい長く感じた。

「ユキ、ごめ」

言いかけた唇を強引に塞いだ。だから、ごめんとかいらない。いらないからさあ。

頭ん中ぐちゃぐちゃ。無性に苛立って、沙奈を押し倒した。

「沙奈、ヤラして?」

……何言ってんの、俺。
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