壊れそうなほど。

「おはよ。うん、学校だよ。なあに?」

ハートマークたっぷりで返信をする。

『俺、事件! やばい』

俺、事件! という不思議な日本語に、可愛いなあとニヤついていると、

「あれ、ユッキーじゃん。……ふーん。へえー」

隣から、からかうような佑介の声が。

「ちょっ、覗かないでよ佑介」

慌ててスマホをひっくり返した。油断も隙もない。いつの間に食べ終わったのだろう、彼のカレー皿は綺麗に空だ。彼のカレー……ダジャレ?

「おはよ、ハート3つはやべーわ」

「……ただの挨拶だし」

「浮気はイカンよ、沙奈」

「だから違うって」

いや、違わないけれども。

テーブルの上でまたスマホが震えた。佑介を警戒しつつ、画面を覗く。

『風呂ぶっ壊れた! 直るまで泊めて』

……元の日常になんて、戻れるわけがないのだ。
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