壊れそうなほど。

扉の向こうに「結構でーす」と返事を投げて、また油に火を入れた。ユキも安心したのか、顔を引っ込め、バスルームのドアを閉めた。

ピロリロリ~

突然、炊飯器が電子音を立て、また一瞬ビクッとなった。心臓に悪い。

ごはんも炊けたし、早く揚げてしまわないと……そう思い、鶏肉を次々と油に沈めていると、

Prrrrrr……Prrrrrr……

今度は、部屋からケータイの着信音が。またまた心臓が飛び跳ねた。……もうイヤ。

火を弱めて、部屋に戻る。テーブルの上で音を鳴らすスマホを拾い上げれば、そこには「佑介」の表示が。なんだ、佑介か。

「なにー?」

『なにーじゃねーよ。お前、今日8時に来い、つっただろ。なんで来ねーの』

「え? ………………あー」

そういえば。8時にどうのこうの、言っていた気がする。
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