壊れそうなほど。

やっと鶏肉の最後の3個を油にほおり込む。ジューッという音を立て、鶏肉の衣が黄金色になっていくのをぼんやりと見つめていたら、不意に背後からお腹に手が回された。

「ユキ、揚げ物してるから危な」

振り向きざまに、軽くキスが降ってきた。

「沙奈ー。俺のこと、好き?」

いつもは野良猫みたいなのに、まるで捨て猫みたいな顔をして言う。胸が苦しくなった。

ただでさえ、啓吾という存在がユキを傷つけているに違いないのに。佑介との関係まで不安に思わせるなんて、わたしは何をやっているのだろう。浅はかすぎる。

やっぱりわたしなんて、ユキの傍にいちゃいけないのかも。だって、わたしがユキといると、みんな傷つくばかりだ。ユキも、啓吾も。

「好きだよ、大好き」

でも一緒にいたいの。

……何も我慢できないわたし、サイテー。
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