壊れそうなほど。

「今日、混んでないといいな」

「うん。でもどうかなー、土日だもんね」

わたし達はテーマパークに向かっている。言い出したのは啓吾だ。「最近、ろくにデートもしてなかっただろ?」と言ってくれたのだ。

結婚を決めて以来、確かにデートなんてしていない。啓吾の実家に行く回数が増えたし、わたしもスエハジの練習が土日になったり。

それに、彼は仕事が忙しくて疲れているだろうから、たまにのんびり時間ができても、家でまったり過ごしていたのだ。

「おれが平日に休み取れるといいんだけどな。今は無理だなー。ごめんね」

「ううん。連れて行ってくれるだけで嬉しい」

だから、デートを提案してくれて嬉しい。嬉しい、はずなのに。

……どうして急に、デート?
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