壊れそうなほど。
流れていく景色を見ながら、佑介との思い出をぼんやりと振り返った。そしたら、バカみたいに涙が溢れた。ずっと泣けなかったから、あの時やっと気持ちがラクになったのを覚えている。
ずっと、相談に乗ってくれていた啓吾。何も言わずにドライブに誘ってくれた啓吾。
そんな優しい彼を、わたしは好きだと思った。だから、付き合ってと言われた時、嬉しかった。
……今だって、好きじゃないわけじゃないのに。
「あ、そういえば」
口の端から煙を吐きながら、啓吾が言った。
「沙奈んち来る前に、ギターの子? 優輝斗くんに会ったよ。国道のスタンドで」
「!?」
心臓が破裂するかと思った。
「……へえ、そうなんだ」
大丈夫、大丈夫。落ち着こう。ただ話題に上がっただけだ。
「そういえばユキ、あそこでバイ…」
「沙奈、あの子に風呂貸したんだってね」
全身から、血の気が引いた。