壊れそうなほど。
「優輝斗くん、ここで働いてるんだ?」
「うん、そう」
でもここは、大人の対応。礼儀もわからないような相手にムキになっても仕方ない。笑顔を向けて「ハイオク満タンで」と言い直した。
淡々と仕事をこなしていた優輝斗は、おれにカードを手渡しながら、
「ね、今から沙奈とデート?」
突然そう尋ねてきた。
「うん、そうだよ」
「ふーん、いいね。……あ、そうだ。沙奈にさ、ありがとって言っといてよ」
この間、おれと一言も話そうとしなかった優輝斗は、今日は随分と饒舌だ。さっきの呼び捨てとタメ口のせいで、とても生意気に感じる。
「ありがとう? 何を?」
そんな彼に苛々しながらも、なんとか笑みを絶やさずに聞き返す。
「沙奈んちで風呂借りたからさー」
「……は?」
思わず眉を寄せたおれを見て、優輝斗は楽しそうに笑った。