壊れそうなほど。

到着するなり、1時間40分待ちの列に並ぶ羽目になった。特に人気があるものを選んだわけではなく、単純に、パークが馬鹿みたいに混雑しているからだ。一体、どこからこんなに人が湧いてくるのだろう。

沙奈曰く、マスコットキャラクターの誕生日が近いからだそうだが、どうせそれが終われば、1ヶ月後に控えたクリスマスを理由に、また死ぬほど混むのだろう。

まあでも、遊園地の類は嫌いじゃない。たまに来ればテンションも上がる。1時間半以上並んで乗ったシューティングアトラクションは、ただ連打するだけなのに、かなり熱くなった。

「楽しかったぁ! 啓吾うまいね!」

なんて沙奈に満面の笑みで言われれば、ここへ来る道中で抱えていたモヤモヤなど、一瞬で消え去るのだ。

「ね、次は何乗る?」

首を傾けて目を細める沙奈が可愛い。
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